ほむほむのプチセッション(20)アトピー性皮膚炎に対するステロイド外用薬、どのようにお話して導入する?

【登場人物】

新潟大学小児科🎗新潟大学小児科学教室先生(新潟)

 

皮膚科医ちゃん皮膚科医ちゃん先生(皮膚科医ちゃん)

 

masamasa先生(masa)

 

画像 shiro先生(shiro)

 

Twitterのスペース機能をつかってはじまった、勉強会の第2回目。

また、日曜日の夜に集まりはじめました。

 

再度集まった、スペース座談会。

ほむほむ
ほむほむ
masa先生と、皮膚科医先生とshiro先生と私の4人が集まりましたね。

では、始めさせていただきましょうか。よろしかったでしょうか?

はい、よろしくお願いします!
一同
一同
ほむほむ
ほむほむ
本当はこの企画って、普段診療している範囲内での疑問点とか、ちょっと話し合いたいなとか、そういったことがあれば、この場で出していただいてみんなで考えましょうというつもりだったんですけど、テーマを事前に出しておいたほうがみんなで考えやすいかなと思って、テーマだけ出させていただいています。
ほむほむ
ほむほむ
今回はステロイド外用薬に関しての話をしようと思っていたんですが、よろしかったでしょうか?
よろしくお願いします~。
一同
一同
ほむほむ
ほむほむ
masa先生と皮膚科医先生を共同ホストにしています。

3人ホストとなっていますがよろしくお願いします。

ほむほむ
ほむほむ
では最初に、masa先生に、アトピー性皮膚炎に対するステロイド外用薬の使用に関して、もしくは減らしていくなどにあたって、どんなふうに考えてやっておられるのかをお聞きしたいと思います。

いかがでしょうか?

ステロイド外用薬、どのように導入する?

ありがとうございます。

アトピーのお子さんに関して、処方するときには、なるべくお家に帰っても使いやすいように、というか、ご家族が困らないように、なるべく絵を描いています。
たとえば、「ここはこの薬を塗ってくださいね」って明示するようには意識をしています。

その場合、1ヶ月処方にすると同じ薬をよくなっても塗り続けている可能性がでてきますので、間が長いかなと思います。ですので、最初の頃は2週間ぐらいで再診をお願いしています。

masa
masa
ほむほむ
ほむほむ
すごくいいお話ですね。
私は絵を描いて渡していなくて文字に書いてお渡しをしていますが、絵を描くっていうのがすごいなと思いました。shiro先生はどうされていますか?
初めまして、小児科医をやってますshiroと言います。この間参加できなかったので、簡単に自己紹介をさせていただきます。
わたしは若手の部類で、アレルギーを専攻しています。
地方病院で一般外来に加えて、アトピーだったり、喘息だったりを何とか頑張って診療している状況です。
もちろん食物アレルギーの患者さんとかも力を入れて診ています。

さて、私は一般外来の中でどうしてもアトピーを診療しなくてはいけなくて、今は予約外来がないのです。
そこで、発熱のお子さんに混じってアトピーや食物アレルギーのお子さんを診ている状況です。

ですので、絵を描いたりとか、文字で起こしたりとかしたいところなのですが、なかなか難しいのです。
そこで、言い方はよくないかもですが、本人の身体を使って、湿疹が悪化している場所を…

shiro
shiro
(ほぎゃあ!ほぎゃあ!)
(※イメージ)
(※イメージ)
すいません!ちょっと子どもを預けてきます!
shiro
shiro
ほむほむ
ほむほむ
お疲れ様です。無理しなくていいですよー(笑)。
ごめんなさい。預けてきました!
例えば、明らかに首だけ悪化しているとか、関節部分だけ悪化しているとか言うときはともかく、多くの患者さんって、体の至る場所が悪化していることがありますよね。
それぞれ悪化する要因があるんだよと本人の体を触りながら説明して、さらに塗り方もFTUで塗りましょうとお話することが多いです。
うるさくてすいませんでした。
shiro
shiro
ほむほむ
ほむほむ
いえいえ、大変そうですから、無理しなくて大丈夫ですよ。

でも、すごくいいお話ですよね。
お子さんのお肌を直接診察する、(一般のリスナーに対する解説として)触診っていうんですけど、それをしながら、「ここにはこれを塗ってね」って話をするっていうのはとても重要なことですよね。
時々SNSとかで、お肌を見ずにお薬だけみたいな話を拝見することがあるので、きちんと肌を触診するというのは重要ですよね。とてもいいお話でした。

ありがとうございます。
shiro
shiro
ほむほむ
ほむほむ
それにしても先生、外来をお忙しくされていますね。
そして、体制も厳しいときもありますよね。
私は9年目の時に東京出てきたのですが、それまでは地方で専門を持たずにアレルギー外来をしていたので、シンパシーを感じました。ありがとうございます。
ほむほむ
ほむほむ
皮膚科医先生どうでしょうか?
皮膚科医ではない私達が、今こんな感じで診療していますよという話だったのですが、皮膚科医を代表していただくつもりはないんですけど(笑)、すいません、事前に断ったほうがいいかなと思い、前置きしたのですが…。
はい(笑)。

私は基本的に、成人のアトピー患者さんを診ています。
成人は、ステロイド外用薬に対する不信感が一定数いらっしゃって、そういう方が来られたときはかなりしっかり説明して、今使う必要があるということを本を用いたり、資材を用いてかなり時間をかけて説明するようにしています。

あとは、やはり長期間使うことを皆さん恐れてらっしゃるっていうのがあります。
そこで、基本的には短期でしっかり使って治すっていうことを心がけています。患者さんにも、「いつまでにこれだけ使って、今度は、2週間後に再診されたときに減らすことを考えましょう」っていう見通しを伝えるようにしています。
皆さん見通しがあるのとないので全然違うと思うので、「いつまで1日2回はしっかり塗っていただいて、今度来たときに減らしましょうね」っていうことを伝えるようにはしています。こんな感じでしょうか。

皮膚科医ちゃん
皮膚科医ちゃん

具体的に指示をし、先の見通しをお話する

ほむほむ
ほむほむ
さすがですね!
というか、ここまでで、私が申し上げることはもうあまりないような気がします。
見通しを立てるっていうこと、そしてこういった感じで塗ってくださいねっていうことを具体的に伝えること、そして紙に書くものもそうだし、ご本人さんの肌を使ってお話をするのもそうだし、具体的な話をすることが重要なんじゃないかというお話だったのではと思います。
ほむほむ
ほむほむ
個人的にも、見通しをお伝えするというのは本当に重要だと思っています。

何て言いましょうか…
たとえば『幽霊』って何か得体が知れないから怖いわけで、それが実は『枯尾花』でしたということだったら別に大したことないよねって話がわかる、そんな話もありますよね。
それがわかるように具体的な見通しの話が伝えられればいいのかな…と思っています。

ほむほむ
ほむほむ
ときおり、1年後に良くなってますかとか、3ヶ月後にはステロイドがなくなっていますかって聞かれるのですけど…これは、道筋や毎日の頑張りにもかかわってきますよね。
ほむほむ
ほむほむ
うーんと、例えば今、英語が喋れないとして「1年後までに英語を喋れるようになりましょう」という話になってくるとしましょう。
すると、「毎日毎日きちんと勉強すれば1年後にかなり喋れるようになるかもしれません。でもそれが、毎日勉強せずに週に1回ちょっと単語帳を読んでいてもしゃべれるようにはなかなかなりませんよね?」とかって外来でお話することがあります。

「スキンケアも、毎日丁寧にやっていくと良くなってくる予想がつきます」と伝える、そんな場合には、たとえ話も必要なのかなと個人的に思っています。

ほむほむ
ほむほむ
あと紙に書いて個別にお伝えするというのは、ある程度のエビデンスがあります。
つまり、ただ何かの冊子をお渡しするだけよりも、紙で具体的にお話を書いて、その人に合わせた形でお話をするとより良くなる可能性が高いのですね。

 

アトピー性皮膚炎児に対し、スキンケア方法を書いて説明したほうが症状が改善するかもしれない

 

Duhovic C, Mohsin M, Duarte-Williamson E, Baron S. Written treatment plans in atopic eczema management in children. Br J Dermatol 2016; 175:1361-2.

ほむほむ
ほむほむ
とはいえ、外来やっていて大変だなと思うのは、忙しくなってくると紙に書いてお渡しするってめちゃくちゃ大変なんですよね。
もしこのスペースを聞いてくださっている方々で、もし紙に書いてお渡しいただけるような先生に診ていただいている時は、是非、そのまま診ていただいたほうが良いと思います。
ほむほむ
ほむほむ
これを受けてmasa先生どう思われますか?

今、見通しの話と、紙に書いてお話をする、そして、肌を直接見てお話をする、2週間後ぐらいに1回見せていただいた方がいいのでは、みたいな形の話になってきましたよね。
では、今度はどれくらい良くなったら、ステロイド外用薬を減らしていったり、どういった見通しの話をするのかというところをmasa先生に聞いてみたいなと思います。

ありがとうございます。

見通しの話は、確かに大事だなあと思っています。
「いつまでに治りますか」って言われて、私がついつい言ってしまうのは「慢性っていう言葉があるように、なるべく悪化しないように診ていこうね」たいな話をして、「ここまでこの薬塗ったらこうなるよ」と、今度は伝えていきたいなと個人的に思いました。

薬の減らし方について、自分で気をつけていることは、よく組織の絵を見せて、「皮膚は目に見えているところだけでなく、深いところに炎症があってね」と親御さんに伝えるようにしています。
「綺麗にツルツルに表面上はなっても、奥の方ではまだ炎症が残っていて、すぐやめるとぶり返すかもしれないので、お話した期間は、まず塗ってきてください」とお話します。

masa
masa
たまにステロイドが苦手な親御さんがいて、塗るのを止めてすぐ再燃したっていう気持ちも聞くので、そうならないよう維持したまま、とりあえず減量のついては私達に相談してくださいとお伝えし、2週間は同じように薬を使っていただいて、使用感や使用量を見ながら、次の減量の相談をしようと思っています。

ですので、減量については、親御さんと一緒に診察しながら相談して決めています。
慣れてきて、1年2年経過した親御さんは保護者さんにも相談しながら診療してますが、最初の頃は一緒に相談するようにします。

そんな感じですが、小児科のshiro先生、聞こえますか?

masa
masa
聞こえています。
僕は見通しについては、乳児期にファーストタッチする人と、幼児期にファーストタッチする人と、小学生のときにファーストタッチする人でまた違うなあと思っているところが一つあります。
そして、特に小学生ぐらいでファーストタッチする人ってだいたい状態の悪い方で、中等症・重症以上のケースがやっぱり目立つと思います。
そこで、重症度が高い方に関しては、基本的にはアトピーとはお付き合いだという話になったりとか、乳児期に悪化しているけれど、すっと自然経過で良くなる例も多いと思っています。
shiro
shiro
ちょっと経過をみていかないとわからないけれども、すっと良くなる人もいらっしゃるしっていうのがあります。
そして、乳児期は顔や首から始まって体へ湿疹が広がってきて、次に四肢に拡大するという話を、その流れでお話します。そしてその塗り方の長期的なフォローの仕方に関しては、外来の忙しさとかもあって…

最初に予約を設定できない関係で、初回の外来で一通り説明すると信用してもらえるのか、僕が外来に出てる日に必ず来てくれる人の方が多いのです。
そして最初にFTUとかプロアクティブ療法の話も一通りはさせてもらって、プロアクティブの話をした時に、「私は減らし方がわからないいです」とか「難しそうだな」っていうふうに保護者さんがリアクションされたときに「次の2週間以降4週間ぐらいのところまでは今の塗り方をしててもいいですからね」みたいにお話しています。

そこで次の外来に来ていただいたときに皮ふが安定していれば、じゃあ減らして行こうかとかっていうような話にしています。

shiro
shiro

 

ステロイド外用薬を減らしていくとき。

ほむほむ
ほむほむ
ステロイド外用薬を減らしていくのって結構難しいですよね。

なんて言うか、少なくとも車の運転程度には難しいのではないかと思っています。
それを「勝手に減らしておいてね」っていうのは、まだちょっと車の構造を勉強したぐらいのところでいきなり実地で公道に走っちゃうくらいに危ない話だと思っています。
もちろん車の運転じゃありませんけど、リスクはありますから。
できれば最初は短期間で外来に来ていただいて、車の免許を取る勉強をはじめたときと同じように、一つ一つこなしていくのがいいのかなって思っています。

ほむほむ
ほむほむ
そして、車の運転も慣れてくると事故を起こしやすいように、ただ慣れていくだけでなく、その怖さも一緒に考えていただくことも時々お話をしながら、効果を最大限に、副作用を最低限に、とお話をするべきだなって思っています。

新潟先生が一瞬スペースに入ってきてくださったんだけど、また落ちちゃった。
今日はお忙しいみたいだね。皮膚科医先生、どうですかねえ。ほんと難しいですよね。

本当にそうですね。減らすのは難しくて、ただ最終目標を一番最初に伝えるようにして、最終目標としては、外から見ると赤みとかがなくなって、で、本人にとってもかゆみがなくて、日常生活に支障がないとか、あとプラス、ぶり返さないってことが最終目標だよというのを伝えるようにしています。

そして初診で診察させてもらったときに、次の外来まではしっかりステロイド外用薬を塗ってきていただいて、次はこの赤みやかゆい湿疹がもう少し改善したらとか、この顔の赤みがもう少し取れたらステロイド外用薬を1日1回にしましょうかとか、あとちょっと他の薬ですけど、プロピックとかコレクチムとかに変更しましょうかっていう話をするようにはしています。

皮膚科医ちゃん
皮膚科医ちゃん
ほむほむ
ほむほむ
そうですね。
子どもでも、2歳以降になってくると、タクロリムス外用薬(プロトピック外用薬)であるとか、デルゴシチニブ軟膏(コレクチム軟膏)が使えるようになります。
少し武器が増えましたよねぇ。

乳幼児期アトピー性皮膚炎に対するタクロリムス軟膏とステロイド外用薬の1年間の使用を比較すると?

 

デルゴシチニブ軟膏(コレクチム軟膏)は、2歳以降のアトピー性皮膚炎にも有効で安全である

 

ほむほむ
ほむほむ
ですので、副作用が少ない、長く塗っても問題が少ないお薬に関する話をしていくのは、とても重要なことですね。
成人はちょっと違うと思うのですけど、ただただ、毎日ステロイド外用薬を塗って、皮膚をいったん改善させるのは、実はそんなに難しくはないのですよね。

むしろステロイド外用薬を減らしていく段階で、1日減らしたら悪化するとか、そういった話がどうしても出てくるので、その話をどこまでうまく減らしていくかというのは難しい問題ではないかなと思っています。

 

後半に続く)

 

 

書き起こしを🎗新潟大学小児科学教室先生(新潟)にしていただきました。
ありがとうございます!

注意点:この会話では医療の関するテーマを扱っていますが、個々の臨床は医師に相談をしたうえで考えなければなりません。ご心配な方は、お近く専門医にご相談ください。

 

(ほむほむ先生のプチセッション、ときどき更新します! ご期待ください。)

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