【登場人物】
🎗新潟大学小児科学教室先生(新潟)
皮膚科医ちゃん先生(皮膚科医ちゃん)
masa先生(masa)
shiro先生(shiro)
Twitterのスペース機能をつかってはじまった、勉強会の第2回目。
また、日曜日の夜に集まりはじめました。
再度集まった、スペース座談会。
では、始めさせていただきましょうか。よろしかったでしょうか?
3人ホストとなっていますがよろしくお願いします。
いかがでしょうか?
ステロイド外用薬、どのように導入する?
アトピーのお子さんに関して、処方するときには、なるべくお家に帰っても使いやすいように、というか、ご家族が困らないように、なるべく絵を描いています。
たとえば、「ここはこの薬を塗ってくださいね」って明示するようには意識をしています。
その場合、1ヶ月処方にすると同じ薬をよくなっても塗り続けている可能性がでてきますので、間が長いかなと思います。ですので、最初の頃は2週間ぐらいで再診をお願いしています。
私は絵を描いて渡していなくて文字に書いてお渡しをしていますが、絵を描くっていうのがすごいなと思いました。shiro先生はどうされていますか?
わたしは若手の部類で、アレルギーを専攻しています。
地方病院で一般外来に加えて、アトピーだったり、喘息だったりを何とか頑張って診療している状況です。
もちろん食物アレルギーの患者さんとかも力を入れて診ています。
さて、私は一般外来の中でどうしてもアトピーを診療しなくてはいけなくて、今は予約外来がないのです。
そこで、発熱のお子さんに混じってアトピーや食物アレルギーのお子さんを診ている状況です。
ですので、絵を描いたりとか、文字で起こしたりとかしたいところなのですが、なかなか難しいのです。
そこで、言い方はよくないかもですが、本人の身体を使って、湿疹が悪化している場所を…
例えば、明らかに首だけ悪化しているとか、関節部分だけ悪化しているとか言うときはともかく、多くの患者さんって、体の至る場所が悪化していることがありますよね。
それぞれ悪化する要因があるんだよと本人の体を触りながら説明して、さらに塗り方もFTUで塗りましょうとお話することが多いです。
うるさくてすいませんでした。
でも、すごくいいお話ですよね。
お子さんのお肌を直接診察する、(一般のリスナーに対する解説として)触診っていうんですけど、それをしながら、「ここにはこれを塗ってね」って話をするっていうのはとても重要なことですよね。
時々SNSとかで、お肌を見ずにお薬だけみたいな話を拝見することがあるので、きちんと肌を触診するというのは重要ですよね。とてもいいお話でした。
そして、体制も厳しいときもありますよね。
私は9年目の時に東京出てきたのですが、それまでは地方で専門を持たずにアレルギー外来をしていたので、シンパシーを感じました。ありがとうございます。
皮膚科医ではない私達が、今こんな感じで診療していますよという話だったのですが、皮膚科医を代表していただくつもりはないんですけど(笑)、すいません、事前に断ったほうがいいかなと思い、前置きしたのですが…。
私は基本的に、成人のアトピー患者さんを診ています。
成人は、ステロイド外用薬に対する不信感が一定数いらっしゃって、そういう方が来られたときはかなりしっかり説明して、今使う必要があるということを本を用いたり、資材を用いてかなり時間をかけて説明するようにしています。
あとは、やはり長期間使うことを皆さん恐れてらっしゃるっていうのがあります。
そこで、基本的には短期でしっかり使って治すっていうことを心がけています。患者さんにも、「いつまでにこれだけ使って、今度は、2週間後に再診されたときに減らすことを考えましょう」っていう見通しを伝えるようにしています。
皆さん見通しがあるのとないので全然違うと思うので、「いつまで1日2回はしっかり塗っていただいて、今度来たときに減らしましょうね」っていうことを伝えるようにはしています。こんな感じでしょうか。
具体的に指示をし、先の見通しをお話する
というか、ここまでで、私が申し上げることはもうあまりないような気がします。
見通しを立てるっていうこと、そしてこういった感じで塗ってくださいねっていうことを具体的に伝えること、そして紙に書くものもそうだし、ご本人さんの肌を使ってお話をするのもそうだし、具体的な話をすることが重要なんじゃないかというお話だったのではと思います。
何て言いましょうか…
たとえば『幽霊』って何か得体が知れないから怖いわけで、それが実は『枯尾花』でしたということだったら別に大したことないよねって話がわかる、そんな話もありますよね。
それがわかるように具体的な見通しの話が伝えられればいいのかな…と思っています。
すると、「毎日毎日きちんと勉強すれば1年後にかなり喋れるようになるかもしれません。でもそれが、毎日勉強せずに週に1回ちょっと単語帳を読んでいてもしゃべれるようにはなかなかなりませんよね?」とかって外来でお話することがあります。
「スキンケアも、毎日丁寧にやっていくと良くなってくる予想がつきます」と伝える、そんな場合には、たとえ話も必要なのかなと個人的に思っています。
つまり、ただ何かの冊子をお渡しするだけよりも、紙で具体的にお話を書いて、その人に合わせた形でお話をするとより良くなる可能性が高いのですね。
Duhovic C, Mohsin M, Duarte-Williamson E, Baron S. Written treatment plans in atopic eczema management in children. Br J Dermatol 2016; 175:1361-2.
もしこのスペースを聞いてくださっている方々で、もし紙に書いてお渡しいただけるような先生に診ていただいている時は、是非、そのまま診ていただいたほうが良いと思います。
今、見通しの話と、紙に書いてお話をする、そして、肌を直接見てお話をする、2週間後ぐらいに1回見せていただいた方がいいのでは、みたいな形の話になってきましたよね。
では、今度はどれくらい良くなったら、ステロイド外用薬を減らしていったり、どういった見通しの話をするのかというところをmasa先生に聞いてみたいなと思います。
見通しの話は、確かに大事だなあと思っています。
「いつまでに治りますか」って言われて、私がついつい言ってしまうのは「慢性っていう言葉があるように、なるべく悪化しないように診ていこうね」たいな話をして、「ここまでこの薬塗ったらこうなるよ」と、今度は伝えていきたいなと個人的に思いました。
薬の減らし方について、自分で気をつけていることは、よく組織の絵を見せて、「皮膚は目に見えているところだけでなく、深いところに炎症があってね」と親御さんに伝えるようにしています。
「綺麗にツルツルに表面上はなっても、奥の方ではまだ炎症が残っていて、すぐやめるとぶり返すかもしれないので、お話した期間は、まず塗ってきてください」とお話します。
ですので、減量については、親御さんと一緒に診察しながら相談して決めています。
慣れてきて、1年2年経過した親御さんは保護者さんにも相談しながら診療してますが、最初の頃は一緒に相談するようにします。
そんな感じですが、小児科のshiro先生、聞こえますか?
僕は見通しについては、乳児期にファーストタッチする人と、幼児期にファーストタッチする人と、小学生のときにファーストタッチする人でまた違うなあと思っているところが一つあります。
そして、特に小学生ぐらいでファーストタッチする人ってだいたい状態の悪い方で、中等症・重症以上のケースがやっぱり目立つと思います。
そこで、重症度が高い方に関しては、基本的にはアトピーとはお付き合いだという話になったりとか、乳児期に悪化しているけれど、すっと自然経過で良くなる例も多いと思っています。
そして、乳児期は顔や首から始まって体へ湿疹が広がってきて、次に四肢に拡大するという話を、その流れでお話します。そしてその塗り方の長期的なフォローの仕方に関しては、外来の忙しさとかもあって…
最初に予約を設定できない関係で、初回の外来で一通り説明すると信用してもらえるのか、僕が外来に出てる日に必ず来てくれる人の方が多いのです。
そして最初にFTUとかプロアクティブ療法の話も一通りはさせてもらって、プロアクティブの話をした時に、「私は減らし方がわからないいです」とか「難しそうだな」っていうふうに保護者さんがリアクションされたときに「次の2週間以降4週間ぐらいのところまでは今の塗り方をしててもいいですからね」みたいにお話しています。
そこで次の外来に来ていただいたときに皮ふが安定していれば、じゃあ減らして行こうかとかっていうような話にしています。
ステロイド外用薬を減らしていくとき。
なんて言うか、少なくとも車の運転程度には難しいのではないかと思っています。
それを「勝手に減らしておいてね」っていうのは、まだちょっと車の構造を勉強したぐらいのところでいきなり実地で公道に走っちゃうくらいに危ない話だと思っています。
もちろん車の運転じゃありませんけど、リスクはありますから。
できれば最初は短期間で外来に来ていただいて、車の免許を取る勉強をはじめたときと同じように、一つ一つこなしていくのがいいのかなって思っています。
新潟先生が一瞬スペースに入ってきてくださったんだけど、また落ちちゃった。
今日はお忙しいみたいだね。皮膚科医先生、どうですかねえ。ほんと難しいですよね。
そして初診で診察させてもらったときに、次の外来まではしっかりステロイド外用薬を塗ってきていただいて、次はこの赤みやかゆい湿疹がもう少し改善したらとか、この顔の赤みがもう少し取れたらステロイド外用薬を1日1回にしましょうかとか、あとちょっと他の薬ですけど、プロピックとかコレクチムとかに変更しましょうかっていう話をするようにはしています。
子どもでも、2歳以降になってくると、タクロリムス外用薬(プロトピック外用薬)であるとか、デルゴシチニブ軟膏(コレクチム軟膏)が使えるようになります。
少し武器が増えましたよねぇ。
成人はちょっと違うと思うのですけど、ただただ、毎日ステロイド外用薬を塗って、皮膚をいったん改善させるのは、実はそんなに難しくはないのですよね。
むしろステロイド外用薬を減らしていく段階で、1日減らしたら悪化するとか、そういった話がどうしても出てくるので、その話をどこまでうまく減らしていくかというのは難しい問題ではないかなと思っています。
(後半に続く)
書き起こしを🎗新潟大学小児科学教室先生(新潟)にしていただきました。
ありがとうございます!
注意点:この会話では医療の関するテーマを扱っていますが、個々の臨床は医師に相談をしたうえで考えなければなりません。ご心配な方は、お近く専門医にご相談ください。
(ほむほむ先生のプチセッション、ときどき更新します! ご期待ください。)
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