【登場人物】
🎗新潟大学小児科学教室先生(新潟)
皮膚科医ちゃん先生(皮膚科医ちゃん)
masa先生(masa)
shiro先生(shiro)
Twitterのスペース機能をつかってはじまった、勉強会の第2回目。
アトピー性皮膚炎の治療として、ステロイド外用薬の導入の話から減量の話へ発展してきました。
そんな前回の続きです。
まずステロイド外用薬に関して、最初受診された方に対して、どんな話をするのかって話をしつつ、2週間程度という間隔をちょっと短めに受診していただき、「ここにこのように塗ってくださいね」っていう紙に書いたり、実地でお話をしたりとか、そして今度は、減量の話をどうしようかの話までしたところです、はい。
冊子や資材は、なにを使っている?
ところで、冊子とかをお渡したりとか、模式図を描いて、もしくは見せてお話をするっていう話題がでてきたのですけど、実際にはどんな資料を使っておられますか?
自分で書いたものでしょうか?
それともどこかから手に入れた資料を使ってますでしょうか?
皮膚科医先生、資料とか冊子とかって話が出たのですが、いかがでしょう?
特にプロアクティブ療法に関しては、クリニックで作ったものを渡して、日付でここは何日までこれ塗ってねみたいなものを使っています。
全員にしているわけじゃないのですが、プロアクティブ導入する人にはそういう資料、一応独自というよりは、絵しか描いてないのですが、そこに自分が「この軟膏をここに塗ってね」とかと書いてある資料を渡しています。
https://www.erca.go.jp/yobou/pamphlet/form/00/pdf/ap024.pdf
とはいえ、一回の外来であんまり一気に話をしてしまうと、患者さんも情報を持ち帰るのが難しくなりますしね。
ある程度の話が伝えられたら、「次回までにこの資料を読んで来てくださいね」って伝えて、「ここはこれ塗ってね。間隔はこれくらいで、量はこれくらいで、そしてまずは頑張っていただいて次回の外来においでください」って伝えます。
たとえば1週間後の受診までにきちんと塗っていただくと、ほとんどの人が良くなってきますよね。
その時期が、多分お話が一番入りやすい時期だと思うんですよ。
頑張ってよくなったよっていう時点ですから、『行動科学的』に、その次の話も入りやすいのです。最初の取っかかりになるんですよね。
そうすると、さっきから車の運転の話に例えているので、車の話にするとすれば、最初アクセルを目いっぱいに踏んでただただスピードを上げることは、実はそんなに難しくない。
でも、丁寧にスピードを一定にして道に沿って走っていくという方が、実は結構難しいんですよね。
だから維持期に入るまでにどういう風に安定させていくのか、そういったお話をしながらを進めていくということですね。
理屈はいいからどうすればいいか教えてくれよっていう方もいらっしゃれば、理屈から話をした方がスッキリするねとかって言う方もいらっしゃるのです。
患者さんごとのキャラクターがどうなのかなって思い描きながら、人に応じて話を変えているってのが個人的には大事かなって思っています。
新潟先生どうでしょうか?
患者さんごとの心配事を聞く。
それによって、解説しなければならないことが違ったりとか、今後きっとこういうことを親御さんは気になってしまうんだろうなとか、そういうところを想定して診療していくことが大事かなって思っています。
どういったことを親御さんが心配されているのか、心配されていることもアトピー自体についての心配なのか、それとも薬を使うことに対しての心配なのかとか、よく聞くようにしています。
患者さんに応じて、心配事って差がありますよね。
考えておられることとか、やっぱりそれぞれ異なりますから、医者側が、僕もやりがちなんですけど、とにかく治療をと突っ走ってしまってしまうときがあるんですよね。
僕にも、もうよくすればいいじゃないか的な感じのところが若いときにはあったので、そこだけじゃないよねっていうのがありますよね。
今の新潟先生の心配事聞くっていうのはとても重要ですよね。
ほむほむ先生のおっしゃったように、理屈を細かく説明してあげたらついてきていただける方と、もう本当にただ単に治療の仕方だけっていう方もいらっしゃいます。
そして、やはりどこまで求めているのかっていうところの大前提で、例えばアトピー性皮膚炎の病名か病名じゃないかをすごく気にしているような親御さんもいらっしゃいますよね。
ガイドライン的には、その家族歴や特徴的な湿疹、2ヶ月以上続けばとか診断基準を満たしてても、他の病院でずっと湿疹、湿疹って言われてて、「アトピーですねー」ってと「アトピーなんですか?」という反応で止まってしまって、そのあとの説明が入っていかないような方もいらっしゃったりもします。
なかなか難しいなと思いながらも真意を探れずに時間が過ぎることもあります。
心配事をお聞きするという、さっきの新潟先生の話が多分1つのポイントになるんだと思うんです。
患者さんに応じて話が変わってくるところはそこなのかかもしれません。
それは『治る』という目標がどこなのか、目標を共有するっていうのも大事かなって思っています。
これは他の疾患でもきっとそうだと思うんですけど、どこを目標にとして共有するかですよね。なんていうかな、先程、英語に例えたので…TOEICが990点の満点を取るのが目標なのか、それとも600点取れて、ある程度日常会話ができばいいのか、そういった何か目標みたいなのがきっとあると思うのです。
ですので、目標を設定して、その目標をめざして一緒に頑張りましょうってお話するわけです。途中で600点目標だったひとが、800点を目標にしてもいいし、990点が目標だったひとが600点に下げてもいいんです。
ですので、目標を時々聞きながら、「ここを目標にするなら、やっぱり色々がんばらなくちゃいけないですよね」とそんな話をしていけばいいのかなって考えています。
生まれたばかりのお子さんはもともとの疾患がない限りはキレイなお肌で基本的には生まれてきますが、その後アトピー性皮膚炎になったのですから、もともと乾燥しやすい、もともとの体質を持っておられるとかがあると考えられます。
目標をどこに置くのか。
例えば、近視の方が眼鏡をかけるとか、コンタクトをするっていうのがすごく悪いと思っている方はいらっしゃらないように、何らかのデバイスが必要とか、何かの補助が必要とかって、そんなに変な話じゃないと思うのです。そしてたとえば、多くの方がアトピー性皮膚炎を持っていなくてもスキンケアで肌をキレイにって実行している方はたくさんいらっしゃると思うんです。
『保湿剤をしっかり塗って、他の人と全く変わらないぐらいの肌になる』って決して悪くなく、低くもない目標です。そもそもお母さんスキンケアをされていますよねとか、お父さんもスキンケアしておられますかねとか、そんな感じの話をしながら目標を設定すればいいかなっていうお話をしながら治療しています。
皮膚科医先生、僕は皮膚科ではないので日々困りながらやっているところなのですけど、どんな感じですか?
先ほども私ちょっと言ったのですけど、やっぱりかゆみがなくて、日常生活に支障がなくて、で、他の人から見ても赤みもないっていうところが目標ですよとか、そういう状態を目標にって決めれば、患者さんと皮膚科医だったり、小児科の先生だったりでタッグを組んで同じ目標に向かっていけるのかなと改めて思いました。ありがとうございます。
どこかで話を区切らないといけないかなと思いますので、個々で区切ります。毎回皆さんに引っ張っていただいていいお話ができたのじゃないかなと思っています。
ステロイド外用薬に関しては、もしくはステロイド外用薬以外の炎症を抑えるためのお薬も今回ちょっと話が出たりしたので、それらに関しても、またの機会にお話したいなと思っています。
今日も500人近くの方々に聞いていただいているっていましたね。
これ講演とかで前に500人とかおられて多分喋るの怖いですよね(笑)。
では今回は一旦これで終了させていただいてもよろしいでしょうか。ありがとうございました。
書き起こしを🎗新潟大学小児科学教室先生(新潟)にしていただきました。
ありがとうございます!
注意点:この会話では医療の関するテーマを扱っていますが、個々の臨床は医師に相談をしたうえで考えなければなりません。ご心配な方は、お近く専門医にご相談ください。
(ほむほむ先生のプチセッション、ときどき更新します! ご期待ください。)
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