ほむほむの昼のプチセッション(5)食物経口負荷試験の『判定が難しい軽い症状』という結果、その後どうする?

【登場人物】

小児科レジデント1年目、F先生

F先生

アレルギー医・ほむほむ

ほむほむ

■ 2020/5/24 16:00 日曜日の医局で……。

当直をいっしょにしている、ほむほむ先生とF先生。
また、なにやら質問があるようです。

 

■ 食物経口負荷試験で判定が難しい、軽い症状だった場合にどうする?

もうひとつ、質問いいですか?
F先生
F先生
ほむほむ
ほむほむ
いいよー。今度はなんだろう?
食物負荷試験の結果の判定についてです。
いわゆるグレード1の症状などの、ガイドライン上でも判定保留とすることもあるといった結果がありますよね。そんな軽い症状をどのように考えて、その後どのように対応したらいいのでしょうか?
F先生
F先生

 

■ 食物経口負荷試験結果の判定方法には、5段階&3段階がある

ほむほむ
ほむほむ
なるほど、食物負荷試験のグレード1(軽症の症状)をどう扱うかってことだよね。
まずで食物負荷試験はガイドラインでは、グレード1からグレード3(重症)まであるよね。世界的にはSampson分類といって5段階になっているけど、ちょっと煩雑かなということで、日本では3段階に分類する方法を提案されて、現在の形に落ち着いているんだ。実臨床に使いやすいと思うよ。

Sampson HA. Anaphylaxis and emergency treatment. Pediatrics. 2003;111(6 Pt 3):1601‐1608.

食物によるアナフィラキシーの臨床的重症度

へえ…そうだったんですね。
F先生
F先生

 

■ 食物経口負荷試験が軽い場合、もう1回食べると…

ほむほむ
ほむほむ
グレード1の軽症だと、すこしだけ咳があるとか、ちょっと皮膚がかゆいとか、蕁麻疹が数個だけだったりとかだよね。場合によっては、他覚的所見がなくて口腔内のかゆみだったりとか、お腹がちょっと痛いとかだけだったりする。
特に他覚的所見だけだと判定保留にするしかないよね。そんな症状の場合は外来で相談した上で、家庭で食べてもらうのが一般的だね。というのは、実際に負荷試験で「判定不能」であった450件以上の患者さんに対して、再度家庭で同じ様に食べてもらった結果では、8割は症状がなくて残り2割も強い症状ではなかったという報告されているんだ。もちろん、平日の昼間に食べるとか、すこし量を減らしておくことで安全性を期するようにお願いすることも多いけど。

食物経口負荷試験で「判定不能」の軽微な症状の場合、再摂取で8割は陰性である

ほむほむ
ほむほむ
だから、当院の外来では、判定保留やグレード1の場合ですごく軽い症状だったっていう場合は、もう1回家庭で食べてもらうことにしているよ。
なるほどです。
じゃあ、グレード1の症状の中でもこの症状だったら気をつけた方がいいといった症状の格付けみたいなのはあるんでしょうか?
F先生
F先生
ほむほむ
ほむほむ
うーん、格付けといえるかどうかはわからないけど、たとえば『お腹が痛い』という腹部症状って自覚症状であって他覚的な所見じゃないよね?
その判定は気をつけないといけないんだ。
たとえば二重盲検負荷試験といって、負荷されているひとにも負荷している医師にも、負荷している食物の内容をマスキングして行う方法がある。そうすると、プラセボでも症状がある場合が10%近くあるという報告があるんだ。遠足の前に緊張してお腹が痛い…というお子さん、経験あるでしょう?

食物経口負荷試験における遅発型反応: 症例集積研究

そういえば、ありますねえ。
F先生
F先生

■ 食物経口負荷試験には、客観性を担保するためのさまざまな方法がある

ほむほむ
ほむほむ
だからね、特に他覚的所見がない場合はよく考えて負荷試験の結果を判定しなくちゃいけないんだ。
でも、当科では、オープン法(負荷している側も、負荷されている側もわかっている方法)がほとんどですよね。
F先生
F先生
そうなんだよね…
二重盲検負荷試験は、当科ではよほどの場合以外はしていないんだよね。
というのも、二重盲検負荷試験は結構ハードルが高くて、ただでさえ予約で一杯の負荷試験の枠を2つ使わないといけないし、マスキングもなかなか難しかったりするからねえ…(ぶつぶつ)。
ほむほむ
ほむほむ
(笑)でも、よくわかりました!ありがとうございました!
F先生
F先生

 

…こんな感じでまた、スモールセッションは終了ー。

 

(ほむほむ先生のプチセッション、ときどき更新します! ご期待ください。)

この記事の注意事項・免責事項は『プライバシーポリシー』の『個々のテーマに対する注意事項や免責事項・ほむセッション』を御覧ください。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です