【登場人物】
🎗新潟大学小児科学教室先生(新潟)
皮膚科医ちゃん先生(皮膚科医ちゃん)
しんまろ先生(しんまろ)
masa先生(masa)
Twitterのスペース機能をつかってはじまった、勉強会の第1回目。
ピーナッツアレルギーの発症予防のため、ピーナッツを早期に開始するかどうかを考えています。
話を深めつつのところで、masa先生がスペースにログインされました。
そんな前回の続きです。
ピーナッツを開始するか、そしてクルミの話へ…
小児科医として開業をしているmasaといいます。アレルギー専門医です。
うちの地域はどちらかというと、ピーナッツよりも、クルミをよく食べる文化があって、ピーナッツよりもクルミアレルギーの相談があります。
ただ、乳幼児期の、離乳食とかそこまで考えると誤嚥のリスクがあるので、ちょっと勧めてはないっていうのが現状です。
ピーナッツは、先ほどしんまろ先生の言ったようにピーナツバターとか使うのだったら少量で摂取するという話をすることはあるのですが、先生のおっしゃったように続けないといけないですねっていう話もして、皆さんすぐにずっと続けるっていう状況はあまりないというのが現状です。
ピーナッツって、日本では、継続して食べるにはどうするかって問題があると思うんです。
まず粒が入っていない、つまりクランチタイプでないスムースタイプのピーナッツバターを勧めた方がいいだろうということと、あと、砂糖とか食塩とか入っている、特に砂糖と一緒にピーナッツを加熱すると、ピーナッツアレルゲン性って上がるっていうことがわかっています。
ですので、砂糖とか食塩とか入っていないスムースタイプのピーナッツバターが離乳食に導入しやすいということになります。
で、そういった製品をどこで買えるかとか、そういう話までする必要があるのかもしれません。
例えばゴマペーストとかと同じように使ってもらうとか、そんな感じでお話をしていることが多いです。
そうすると、結構いろんな料理に入れてくださってるみたいで、継続できる方も多いように思います。
ただ、前にいったように、アレルギー学会とかで強く推奨しているわけではないので配慮しながらお話していくということになります。
あと、クルミに関しては最近の統計で、単独のナッツアレルギーとしてピーナッツアレルギーも多くなったっていう報告がありますので、クルミに関しては、今後また考えていかないといけない大きな問題だろうと思います。
そんな感じですが、masa先生どうでしょうか。
開始時期はいつがいい?
昔からちょっと気になっていたのが、LEAP studyの元になるイスラエルのデータが、かなり幼少期からピーナッツの何かスナック菓子みたいな製品を食べさせてたから、ピーナッツアレルギーがイギリスに比べて少なかったんじゃないかっていうのが元になって生まれたって聞いています。
▷Du Toit G, et al. Randomized trial of peanut consumption in infants at risk for peanut allergy. N Engl J Med 2015; 372:803-13.
えっとですね、このテーマではEAT studyが参考になると思うんです。
▷Perkin MR, Logan K, Tseng A, Raji B, Ayis S, Peacock J, et al. Randomized Trial of Introduction of Allergenic Foods in Breast-Fed Infants. N Engl J Med 2016; 374:1733-43.
そのときに、生後3ヶ月から始めた群では、実際食べはじめることができる人が少なかったんですね。
生後3ヶ月まで首もすわってない方も多いですし、食べ始めるときに舌で押し出すような反射をするような方もいますよね。そういった意味で、始めることが難しかったんです。
つまり、現実問題として生後3ヶ月とかに始めるのはまず難しいんじゃないかって思っています。
ですので、もともと生後4~5ヶ月から始める方が多かったことも考えると、その時期に開始するのが(早めとしても)一つの目安になってくるのかもしれないなって思っています。
かといってピーナッツをいつから始めるかってなかなか難しいんです。
そのLEAP studyの二次解析研究で、4~10ヶ月にはじめるのでも、むしろ少し遅めに始めた人の方が予防効果が高かったっていう結果もあります。
▷Greenhawt M, et al. LEAPing through the looking glass: secondary analysis of the effect of skin test size and age of introduction on peanut tolerance after early peanut introduction. Allergy 2017; 72:1254-60.
▷Keet C, Pistiner M, Plesa M, Szelag D, Shreffler W, Wood R, et al. Age and eczema severity, but not family history, are major risk factors for peanut allergy in infancy. J Allergy Clin Immunol 2021; 147:984-91.e5.
湿疹を発症すると、開始が遅くなるとすでにピーナッツアレルギーを発症しているために始めることすらできないとう問題がでるし、むしろ少し遅めに始めた方がピーナッツアレルギーの発症予防効果が高いという研究もあるし、なかなかいつから始めていいか難しいなあと僕の中でなっています。
皮膚科医の先生が、湿疹のあるお子さんにどのようにお話している?
アトピーが疑われていたり、皮膚がガサガサの方が、小児科にも来るし、皮膚科にもいらっしゃると思うんですよね。
僕はちょっと、皮膚科医ちゃん、ちょっと馴れ馴れしくてすいませんけど、皮膚科医ちゃんに聞きたいのが、まだ離乳食始めてないお子さんの湿疹のケアを皮膚科で始めたときに、どういうふうに対処するのか、そして離乳食ってどういうふうにお話されているのか、聞きたいなと思ったのですが。
離乳食の話が中心になって、皮膚科医ちゃんに話をどう振ろうと思っていました。
ありがとうございます。
私は、市中病院の皮膚科に勤務していて、基本的には患者さんは成人の方が中心なんです。
ですので、ときどき小児の方がいらっしゃるっていう感じなのですが、離乳食が始まる前のお子さんが来られて、皮膚炎があった場合はしっかり保湿とかのスキンケアをもう1からしっかり指導するようにしています。
あとは離乳食を始めるかどうかまで踏み込まないことも多いんですけれど、もし始めるのであれば、決してそれを、皮膚炎があるからといってすごく遅らせる必要はないっていう話をします。
そして、遅らせる必要はないけれどもスキンケアに関しては、特に口周りとか、食べ物がつきそうなところは食事前とかにワセリンで保護するようにって説明するようにしています。
生後6ヶ月にピーナッツ始める人と少し遅れて生後8ヶ月以降に始める人と湿疹の重症度に応じ、生後8ヶ月を超えると、一気に症状が最初からでてしまう方が増えてしまうっていう報告があるという話を先程しましたね。
最初の皮膚炎に関しての介入がどこまでしていくかが、その子の将来の状況を左右すると考えられます。
つまり、それまでにいかに離乳食始め始める前に皮膚安定化させるかっていうのは重要かなと個人的に思っています。
新潟先生ご意見などないですか。
※ご覧のとおり、『クリアカットな結論をだす』ことを目的としておらず、ディスカッションを深めながら結論を出しにくい問題に対するブレインストーミングとなっています。
※書き起こしを🎗新潟大学小児科学教室先生(新潟)にしていただきました。
ありがとうございます!
注意点:この会話では『離乳食早期開始』の視点も含めたテーマになっていますが、『離乳食早期開始』は医師に相談をしたうえで個々で考えなければなりません。ご心配な方は、お近くのアレルギー専門医にご相談ください。
(ほむほむ先生のプチセッション、ときどき更新します! ご期待ください。)
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