連載(6)「SNS医療のカタチ」はどうやって生まれたのか

2020年3月30日のweb会議。

4人が各々のPCの前に座り、2時間が経過しようとしていた。

重い空気が流れていた。

かつてないほど、重かった。

 

イベントの全面中止を最初に提案したのは私だ。

もう中止にしたかった。

何度も何度も悩み抜き、もはや悩むエネルギーが残っていなかったのだ。

 

ほとんど中止決定、というところまで話は進んでいた。

今日のweb会議はこれにて終了し、これ以後、しばらく私たちはweb会議をすることもない-。

紛れもなく、そういう空気だったのだ。

 

だが、大塚だけが、反対した。

「僕は、まだ諦めてませんよ」

 

これまで協力してくれると言ってくれた皆さんに、とても中止を伝えることができない。

ここで中止を伝えたら、次はないのではないか。

これだけ熱くイベントの意義を語り、ようやく賛同を得たのに中止にしたら、次はもう協力は得られないのではないか。

 

ゆったりとそう語る大塚の表情に、これまでの苦労が滲んだ。

医療エキスポをやりたい、と言い始めたのは大塚だ。

スポンサー集めに奔走し、出演者と交渉してきたのも、ほとんどが大塚だった。

 

そして、何より今求められているのは、この淀んだ空気を打開する、明るいイベントではないのか。

医療に関わるオンラインイベントこそが求められているのではないか。

 

「大塚がそう言うなら」

会議の空気が一変した。

 

「やろう」

 

確かに、お金はない。

しかしこのご時世だ。

お金に困っているのはみんな同じ。

あらゆるイベントが苦労している。

私たちだけじゃない。

今回は非常事態なのだ。

 

足りない分は手弁当だ。

今までずっと、そうしてきたのだ。

そのうちまた、活動を広げて補填すればいい。

 

ここまで来たら引き返せない。

SNS医療のカタチTV、開催しよう。

 

2020年4月2日。

私たちはSNSでイベント告知を行った。

SNS医療のカタチTV、8月23日開催。

私たちSNS医療のカタチは、新たなステージに進む。

インターネットテレビを作る。

高らかに宣言した。

 

同時にイベント公式サイトを公開した。

公式サイトのURLには、「medical-expo」の文言がある。

医療エキスポの公式サイトとして作り上げてきた、その名残である。

 

そして、次々にコンテンツを公開していく。

同時にYouTube公式チャンネルでもオンライン講義「SNS医療のカタチONLINE」を定期的に行い、イベントまで盛り上げていく。

8月23日までは、全員フル稼働で行く。

決意は固まった。

 

 

2020年8月23日。

インターネットテレビ「SNS医療のカタチTV」。

やさしい医療情報が、もうすぐあなたのもとへと届く。

2 COMMENTS

江田

けいゆう先生

ヤンデル先生のtwitterをフォローし、何気なく「SNS医療のカタチONLINE」を目にしてこのブログにたどり着きました。
私自身、普段から医者にかかるのは歯医者の定期健診ぐらいで医療にそこまで関心はありませんでしたが、一児の親となり小児科にお世話になりまくるようになってから、確からしい医療情報を自分が持っていないことに気づきました。
最近ようやく、風邪で抗生物質は処方してもらわないほうがいいなだとか、ワクチンは打てるだけ打っておいたほうがいいなとかいうことを思うようになりました。

ブログを拝見していて、こういうやさしくて高い情熱をもったお医者様たちが、確からしい医療情報へのアクセス確立のために忙しい合間をぬって立ち上がって行動をおこしてくれていることに感動します。

私は一凡夫にすぎませんが、大衆の一人としてできることをしていこうと思います。
(そして一番難しいのは身近な家族への啓蒙だとも思っています)
長くなりましたが、応援していますということを一言お伝えしたく。

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外科医けいゆう

私たちの情報をお役立ていただき、大変ありがたく存じます。
できるだけ多くの方に情報が届くよう、引き続き活動を続けていきます。
今後ともご愛顧よろしくお願いいたします。

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