【登場人物】
小児科レジデント3年目N先生
アレルギー医・ほむほむ
■ 2020/6/4 14:45 医局で…。
外来がおわって一息ついたところで、N先生が近づいてきました。
■ いくらを食べてアナフィラキシー。さて、どこまで検査をするか?
10歳のお子さんなんですが、アナフィラキシーが数日前にあったということで受診されています。いくらを初めて数粒くらい食べて、呼吸器症状や消化器症状、蕁麻疹があってアナフィラキシーらしいとのことでした。
そのときには救急受診はされなかったんですけれど、幸いなことに症状が治まっていたということで、私の外来にアレルギーの検査を希望されてきたんです。
いままで生魚とかあまり食べたことがなかったそうなんです。魚と魚卵はまず関係ないと思うんですけど…
それ以外はアトピーもないし鶏卵とか小麦とかのアレルギー歴はなく、ご家族でも特にアレルギーではないそうです。
■ 魚卵アレルギーと魚アレルギーは関連する?
でも同時に魚を食べたとすると、今のような季節だと魚は『うそアレルギー』がある可能性があるから要注意だよね。
■ 魚は、特にこの季節に『うそアレルギー』がありうる。
たとえば、本当の魚アレルギーは白身のほうが多いのに、ヒスタミン中毒を起こしやすいサバがはいってくるんだね。
■ 魚卵アレルギーで多いいくらやたらこは、検査結果に特徴がある。
魚卵には卵白はなくて卵黄と卵膜のみで構成されている。そして魚卵でも圧倒的に多いのはいくらで、その次はおそらくたらこになるでしょうね。
2~3歳で新しく発症する食物アレルギーでは、魚卵が一番多いという報告があるけど、2~3歳で魚卵を食べ始めている子は少ないだろうから…なかなか対処も予防も難しい相手ではあるね。
アレルゲン的にはいくらとたらこは少し重なるんだけど、僕は臨床的にはそこまで重ならない印象を持ってるよ。だから、独立して負荷試験を考えたほうがいいかもしれないね。
■ 10歳であらたに魚アレルギー…あり得る?
生後5ヶ月から10ヶ月の乳児期からピーナッツを5歳まで食べ続けるとピーナッツアレルギーの発症リスクが10分の1になるという、LEAP試験という研究があるんだ。
そして、このLEAP研究に参加した人って640人もいたんだけど、その研究を5歳までやりきった方を、さらにピーナッツを1年間完全除去したという研究も行われたんだ。
すると新規にピーナッツアレルギーを発症した人は3人しかいなかったんだそうだ。恐らく5歳以降まで食べれるかどうかで、その食物を受け入れるかどうかって白黒ついてくるんじゃないかなと思えるよね。
■ 食生活が変わると、アレルギーも変わる?
あくまである講演で聞いた話しで、なるほどなと思った内容なんだけど、最近魚の消費量って昔に比べて減っているよね?だから、かえって魚アレルギーが増えたんじゃないかって考察されていたよ。
食べる量や機会が減ったために、免疫寛容がくずれたってことになりますね。食生活が変わったことで、アレルギーが増えるってことがある…という。
だから、そのお子さんが、本当に魚がきらいで『まったく食べていない』ならば、魚もチェックしたほうがいいかもしれないなあ…でも、生魚も焼き魚も、一般的には魚アレルギーだったら食べられないんだ。魚のたんぱく質は加熱に対してアレルギー的には強いんだね。ここは悩ましい点だね。でも、そこまで魚を食べないって難しいんじゃないかなあ…うむむ…。
…こんな感じでまた、スモールセッションは終了ー。
(ほむほむ先生のプチセッション、ときどき更新します! ご期待ください。)
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